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おかえり〜I'm home〜(R18)

第6章 summer memory①





黒い建物の壁にはベタベタと、赤い手形がついており、看板には不気味な文字で・・・

「お化け屋敷って書いてあるね・・・」

期間限定のお化け屋敷だった。もうすぐ夏ですもんね、ひんやりしたい季節ですもんね。

しかしこんなに大きな建物なのに、お客さんはみんな怖がって、入っている人は少ないな。

「あ、そこのカップルさん、一回どうですか?」

ちょいちょい、と死装束の衣装を着たスタッフらしき人に声をかけられた。

カ、カップルじゃないんだけど・・・っ

「え、私たちですか?」

「そうです!子供向けだしそんなに怖い仕掛けとかないんですけど、みんな外装に怖がっちゃって中々入ってくれないんですよ〜」

スタッフさんは困ったように頭をかいている。

「ほんとに怖くないんで!いっちょ宣伝したいんで、無料でいいんで、入ってくれませんか?」

無料!しかも、面白そう!
私はウキウキして、入ろう?と言う意味も込めて及川さんを振り返った。

え。


「これ・・・入んの・・・?」


及川さんの顔は明らかに青ざめている。なんならさっき買ったテーピングの袋も落としそう。

「え?もしかして及川さんこわ「怖くなんかないしっ!ぜーんぜん平気だね!!」

及川さんは胸を大きく張って見せた。上半身はそうでも、下半身が小鹿のように震えてる。わかりやすいなぁ〜。

「え、じゃあ入ってくれるの?無理してない?」

「全然入るし、あったり前じゃんっ!」

「本当ですか!?ありがとうございます〜っ」


スタッフさんが及川さんに握手を求める。及川さんは大袈裟かって思うくらいに肩をビクつかせながら、その握手を受ける。

なんか、可愛い・・・



「何ぼさっとしてんのさ!早く行かないと置いてくよ!」

いつも以上に強気な声に私は吹き出さないようにして、彼と一緒にお化け屋敷の中へと入っていった・・・。



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