第6章 summer memory①
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「ふぅ〜っ、大満足と大満腹だ〜っ」
カランカランとベルがなるお店の扉を開けて、外へ出る。
「本当にいいの?支払い・・・」
「いっつも言ってんじゃん。夜飯作ってもらってるしこれくらいでしか帳尻合わせらんないからいいって」
くるりと振り替えり、財布をしまう及川さんに頭を下げる。
「いつもありがとう。ご馳走様です」
出かける時、大まかな支払いは及川さんが出してくれる。理由は、さっき及川さんが言った通りのことらしいけど、毎度の事ながら有難い反面、少し申し訳ないなと思っている。
年上だから、男だから多く出すとか、全部払うとかそう言う概念、あんまり好きじゃなくて。
一緒に美味しいものを食べたり、楽しいことを共有したりしてるから、少しは私も払いたいなって思った。だから、車も出してもらってる分、飲み物とかちょっとしたものしか買えることができなくて・・・
「そーんな、しおらしい顔しないの、俺がそうしたいんだから、お前はありがたーく甘やかされてな?」
むにっと私の頬をつまむ及川さん。あの〜、こんな近くまで寄られると一応照れるんですけど。
「わかっひゃ。ありひゃほう」
「ぷっ、変な顔」
遠慮なく吹き出す及川さん。
「うるひゃい」
私の頬をつまむ及川さんの手をグッ掴んで、軽く飛んで額をごつんとぶつけてやった。
「いでっ!?」
「ふふ、馬鹿にした罰だよ〜」
「ほんと、可愛くない!」
「知ってますよ〜だっ」
ああだこうだ言いながら、私達はパンケーキ屋さんを後にした。