第6章 summer memory①
キスの上手い人・・・そのフレーズは、私にあの夜のことを思い出させた。
及川さんと初めて会った日、
そしてその日に、彼とキスをしたことを・・・・・・
あの時のキスは・・・正直・・・
(上手だった・・・)
と思う。男性経験が豊富なわけじゃないけど、なんて言うのかな、がっつき過ぎず、夢中にさせるような・・・
とにかく、なんかもう、エロいやつだった笑
世の女は、あんなイケメンにあんなことされたら・・・
だけど私はそれに対しては酷く怒った。そして月日が経ってそれを許した。許せば楽になれたし、そしてその思い出が何故か・・・
甘い記憶になりつつ、あった・・・
(ダメだ。あれは・・・お酒が入ってたからだって・・・)
わかってるのに。何度も言い聞かせてきた。
だって、事実だから。それ以上なんてない。
あの時は彼を全く知らなかったから。そう言えた。
だけど今・・・少しずつ彼を知り始めて、わかり始めてきた今、あの日のことを思い出してしまうと・・・何とも言えない、言ってはいけない気持ちにさせられた。
彼女がいないと知って、何故かほっとしたのも事実だし・・・
(あ〜もう、やだぁ〜)
ふるふると芽生えそうになる感情をかき消すように首を振り、お手洗いへと向かったーーー・・・