第6章 summer memory①
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また、とある週の日曜日。
「りお〜お前、今日暇でしょ?」
「あのねぇ、勝手に決めつけないでくれる?」
久々にお天気がいいから、洗濯物を外に干していた私のところに及川さんがやってきた。
「暇じゃないの?」
「・・・暇だけど」
すっと及川さんの指が伸びてきたと思ったら、おでこをピンとはねられた。
「あいたっ」
「ほーら、やっぱり当たってんじゃん」
ニヤリと笑う整った顔立ちの彼を、おでこを擦りながら睨みつける。
「・・・うるさ」
「あー、そんなこと言っていいんだー?俺今、イイもん持ってんのになー」
ヒラヒラと紙のようなものを私の前に見せる及川さん。その紙に、見知ったロゴマークを見つけ、私は洗濯用に干すハンガーを落っことしてその紙を捕まえた。
「こ、これって!天使のパンケーキ!」
それは超有名なパンケーキのお店。全国各地に店舗を展開していて、ついこの間、仙台にもお店をオープンしたって、テレビでやってた!
東京にもあったんだけど、大人気とあって毎日行列ができていて中々食べることができずに、この地にやってきたから、また食べるチャンスが出来たことが凄く嬉しかった。
で、何故か及川さんは、そのパンケーキ店のオープン記念特別招待券を持っていたのだった。
「こ、こんな高価なもの、どこで!?」
「高価ではないけど貴重だよね。母さんがスーパーの福引きで当てたんだって。りお甘いもん好きなら行ってきな〜って」
叔母さん、くじ運もあるなんて・・・本当、神・・・!
「叔母さんはいいの?今日お休みなんじゃ」
今日は一緒に家の掃除をしていた叔母さん。そういえば先程から姿が見えないな。
「母さんはこれから、岩ちゃんの母ちゃんとランチだよ」
「あ、そうなんだ」
こないだインターハイ予選で会った、岩泉さんのお母さんか・・・
子供だけじゃなくて、親同士もなかよしなんだね。
「で?行くの、行かないの?今ならスーパーイケメンカッコイイ及川さんが連れて行ってあげるけど?」
物干し竿に手をかけて私の顔を覗き込む及川さん。昼下がりの優しい日差しが彼の髪の毛を明るく照らす。
「っ、行きたい!です!パンケーキ!」
「俺目的じゃないんだね、わかってっけど・・・」
甘いもの大好き!やったー!!