第6章 summer memory①
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ハンバーグをあっという間に食べた及川さんは、私を外へ連れ出した。
理由は、つい先程CMで流れていた邦画が観たいと言い出したからだ。スマホで近くの映画館の上映スケジュールを見ながら、及川さんは器用に靴を履く。
「食べてすぐでかけるって、お腹に悪いよ?」
「お、あと30分で始まるやつあるじゃん〜」
私の小言も聞いておらず、及川さんは鼻歌を歌いながら玄関の鍵を閉める。・・・もう。
「りおも面白そうって言ってたじゃん」
「まぁ、原作が好きだから楽しみだけど・・・」
「なら良し。パーっと行こ!」
そう言って及川さんは先先と車に乗る。
「なーにしてんの、置いてくよ〜」
車内に乗り込みながら、及川さんは私を手招きする。
(私、化粧とか全然してないのにな・・・)
まぁ、今更及川さんを前にして化粧してちゃんとしなくちゃ、とかは思わないけど。
THE 普段着で連れ出された私が渋々と車に乗ったのは、こんなことが、もう1回や2回じゃなかったからだ・・・。
(こないだのバッティングセンターの筋肉痛、まだ取れてない・・・・・)
思い返すのは水曜日の仕事終わり。
練習終わりの及川さんと、帰り道に偶然会って、その足で連れていかれた。
というのも、最近運動不足を気にしていると私が言ったからだ。言い出したらすぐ行動する彼に、バッティングのコツなども教わって、ボールが当たるようになったら止められなくて、案の定やりすぎて筋肉痛になった。
お陰で運動不足は回避できたけど、その代償で負った筋肉痛は、土曜日の夜になってもまだ取れていなかったから、車を乗る時も苦労した。
お互い筋肉痛で、痛い痛いと言い合いながら、車は映画館に向かって、走り出したーー・・・