第5章 spring memory⑤
何、勘違いしてたんだろう。
これは、超絶恥ずかしい・・・っ
穴があったら入りたいレベルだ。
「毎年花と何かしらプレゼントは渡してるんだけどさ、正直もうプレゼントのネタがなくて・・・」
勝手に、及川さんに彼女がいるもんだって話進めてひとりでブルーな気持ちになってた。これ、めちゃくちゃ痛いヤツだ。
「だから、りおに何がいいかなって聞こうと思ったら、お前めっちゃ不機嫌だし」
口元を尖らせる、及川さん。そりゃそうだ。意味わかんない所で、私が怒ってたんだからね。
「ご、めん・・・」
「誤解が解けたなら別にいいけど、なに〜?りお」
及川さんは口端を釣り上げて、扉の枠に肘をつく。そして私の羞恥で真っ赤になった顔を覗き込んだ。
「俺に彼女がいたから、嫉妬してたワケ?」
「〜〜〜!そんな訳ないでしょっ!馬鹿!」
赤く染まった顔を見せないように、及川さんの顔を容赦なく手で突っぱねた。
「って!図星だからって照れなくていいって」
「図星じゃないしっ!!」
茶化すような口調に、顔の火照りが一層上がる。
ほう、と息をついて心を沈める。
「・・・で、なんだっけ?叔母さんのプレゼント?」
彼女へのプレゼントじゃないってだけで、さっきまでもやもやしてたのが嘘みたいに晴れやかだ。
「うん、何かいいもん無い?一応女でしょ?」
一応って・・・と言い返しそうになったけれど、今日は圧倒的に私の分が悪くて何も言い返さないでおこうと思った。
「うーん・・・花束、と何かかぁ・・・」
「言っとくけど、月並みのプレゼント類は制覇してるから。鞄とか、ネックレスとか」
「制覇って・・・うーん・・・」
私、いつもお母さんに何あげてるかな・・・
あ・・・・・・・・・
「あげるって言うのじゃないけど・・・」
「ん・・・・・・?」
「ご飯、作ってあげるのは・・・?」