第4章 spring memory④
《及川side》
ーーー・・・
目が覚めた時、外はゆっくりと朝日が登り始めた頃だった。
心地よい温もりが腕の中にあって、夢か現実か分からないくらいの感覚を覚えた時・・・その温もりが身動ぎをしてハッと我に返った。
「・・・ぇ・・・!?」
なんで・・・りおが一緒に寝てんの!?と、俺の腕の中で丸くなって眠る彼女に言いたくなった。
嘘だろ・・・まさか・・・
酔った勢いで・・・何て考えて自分の格好を見たけれど、よかった、ちゃんと服着てるし、それは無かったみたいだ。
というか、徐々に昨日の記憶が蘇ってきてる。
えーと?とりあえず昨日はりおを酔わせないように代わりに酒飲みすぎたんだった。
で、帰りはタクシー乗って・・・そこまでは何となく覚えてる。で、そのあとは・・・
俺はぱしん、と自分の顔に手を当てた。
最、悪・・・
多分、ひとりで眠るのが嫌で、無理やりりおのことを布団に道連れにしたんだった。
まじでそれはダメだろ、俺・・・
付き合ってもない子とそういう関係になる歳でも無いのに・・・。
でも、俺の中で眠りこけるりおは、とても気持ちよさそうに寝息を立てている。
「安心・・・し過ぎでしょ・・・」
その姿を見ると・・・何故か罪悪感とかが薄れてしまう。
柔らかそうな頬に触れ・・・ふにふにとつつく。ふふ、と頬を緩めたかと思うと、こないだみたいに、顔を胸元にすり寄せてくる。まるで甘えるように・・・
「ほんと・・・無防備すぎ」
いつもこれくらい女の子らしく甘えてくれてもいいのにな・・・
まぁ、初対面であんな事してるし嫌われてるから、仕方ないんだけど・・・
抱き寄せた右腕は自然と彼女の髪の毛を梳く。綺麗に切りそろえたショートボブの髪の毛が心地よくて、甘い香りがして、離れがたくて・・・
少しだけ、もう少しだけ、
あと5分だけ、このままでいたくて・・・
朝日が二人を照らし出すまでの間・・・
俺は瞼を閉じて腕の中の温もりに浸ったーーー・・・