第35章 a LOVELY TONE
《a LOVELY TONE》
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及川side・・・
りお・・・
お前に出会った頃の俺は、何もかもを諦めて、ただバレーに縋って生きていた。
自分は孤独だって思い込んで、失った愛を求めて・・・
なのに、もう一度本気で誰かを愛することを、怖がってた。
だけど、真っ直ぐに俺と向き合ってくれるお前と過ごした日々が、
俺を少しずつ変えてくれた。
もう一度、誰かを想うことの大切さを、思い出させてくれた。
そして今、俺はお前の恋人になれた。
お前は恥ずかしがり屋だし、照れ屋なくせして意地っ張りで、
すぐ怒るし、俺が悪戯すれば顔を真っ赤にして説教してくる。
そんなじゃれ合える他愛ないひと時が、かけがえない幸せなんだって思うよ。
そんなお前はよく食べるし、酒も飲むし、よく笑う。
いつだって飾らずに自然体で、俺の隣を歩いてくれていた。
俺の一番近くにいて・・・俺を愛してくれる。
だから俺も、呆れるくらいお前のことを愛したよ。
沢山甘えたし、甘やかした・・・
時には本気で言い合いもして・・・
何度も何度もぶつかって、分かりあってきた。
だから好きなところも幾らだって言えるし、嫌いなところだって知ってる。だけどそれは全部、互いの個性だってわかり合ってる。
何でも言い合えている自信がある。
俺はお前の、恋人だから・・・・・・
でも、さ・・・
恋人になっても、ただひとつ、
まだ、お前に言えてないことがあるんだ・・・