第34章 Lovers memory③
ーーー・・・
「で?自分ばっかが良くしてもらってて、このままじゃ俺に飽きられると思ったから、こういうことしたってことで、OK?」
「ぅ、ぅぅ、はい・・・」
ちゃぽん、と水滴が私たちの入った湯船で音を立てる。
あの後、及川さんに何度も抱かれて、流石にそのまま寝られる状態ではなくて、二人でお風呂に入っている。
ちなみに今は夜中の3時。どれだけ盛り上がっちゃったんだか・・・
もう体じゅう力が入らないよ。
及川さんに後ろから抱きしめられるように湯船に浸かり、私は今回のことの経緯を及川さんに赤裸々に暴露するハメになっていた。
「ほーんと、考えることがお馬鹿だよねりおは。俺がそんな事で愛想つかすわけないじゃん」
「わ、わかってるけど・・・」
あ〜もう、本当に恥ずかしい。
自分から及川さんのこと組み敷く日が来るなんて・・・っ
忘れちゃいたいくらい、後から恥ずかしさがこみ上げてきた。
「でも・・・、及川さんのこと、そ、その・・・大切って思ってるから、何か私もしてあげたくて」
きゅっ、と浴槽から出ていた及川さんの手を握り、振り返って彼を見つめる。及川さんは整った顔で、完璧すぎる微笑みを浮かべて私を見つめ返してくれた。
「その・・・ごめんなさい」
「なんで謝んの。すっごい興奮したんだけど」
「そんなこと言わなくていいからっ」
赤面して、このままのぼせてしまいそうだ。
及川さんはくくっと喉の奥で笑い、私の頬に手を添えた。
そして私に、触れるだけのキスをくれる。
「りおが俺を大切に思ってくれてるのと同じくらい・・・俺もお前が大切なんだよ」
「・・・・・・」
「気持ちって目に見えないから測りようがないけどさ・・・俺はお前がそんな風に思ってくれてたって知れて、今すごい幸せだよ」
「うん・・・」
及川さんは私を体ごと反転させて、向かい合う形になった。
そしてその腕に優しく抱き入れてくれる。
素肌が触れて心地よくて・・・
目を閉じる。
「背伸びしなくてもいいし、俺は俺のやり方で、りおはりおのやり方で、お互いを想い合いたい」
触れ合った温もりが、心の底から彼を愛しいと感じさせる。
あぁ・・・大好きだなぁ。