第34章 Lovers memory③
「・・・へ?」
いつもとは違う押し倒されてる景色に、
状況が把握出来ていない及川さんのきょとんとした反応が見れた。
・・・いい反応。
端正な顔立ちが私を見上げる中、私はぺろりと唇の端を舐めた。
そして・・・
「んっ・・・」
私から、及川さんに口付けていった・・・
最初は触れるだけ・・・リップ音を立てて、啄むように・・・
それから少し角度を変えて・・・、ちろりと出した下で、及川さんの下唇を舐めた。
柔らかいそれをはむっと、甘く噛んであげると・・・察したようにゆっくりと彼が口を開いてくれた。そこから彼の舌が出てきて私のと合わさる。
と、及川さんの手が、私の腰、と、頬に添えられて固定される。
及川さんがキスしやすい、角度にされてくの感じた私は・・・
その手をやんわりと繋いで押し倒した顔の横へと縫い止めた。
「んん、・・・っ」
及川さんはいつもと行動パターンの違う私に戸惑いの眼差しを送ってる。
私はそんな彼を横目に、キスを続けた。
最も、本当は内心ドキドキが止まらなくて困ってるくらいなんだけど、彼がいつも私を翻弄するようなキスを思い出して・・・私も、彼が夢中になるようなキスになるように、
唇と、
舌と、
息遣いを合わせてみた・・・
「っ、はぁ、・・・」
舌先を吸ってみたり、口内全体をなぞってみたりすると。
くちゅ、くちゅとお互いの唾液が、混ざり合う音が聴覚を犯し始めた。
及川さんの口端から、つぅ・・・とどちらのかも分からない唾液が流れた頃・・・私はゆっくりと唇を離した・・・
そして及川さんの顔を見る。
「・・・どうしたの?今日、すっごい積極的じゃない」
受け身なのにいつもの余裕そうな笑みは崩さず、少し蒸気した頬がまた彼の色気を増す。
・・・きっと、及川さんから見た私は・・・リンゴみたいに真っ赤になってるんだろうな。自分からこんなオトナなキスしたことないもの。
私と彼は2つしか歳が違わないのに・・・色気も余裕テクニックも何もかも・・・差がありすぎる。
羞恥心を振り払うように、私はもう一度彼に口付けて、今度は彼の首筋に唇を寄せた。
「ん・・・っ」