第34章 Lovers memory③
ーーー・・・
明くる日の晩、私は及川さんの部屋の前に立っていた。
さっきお風呂も終わって、寝巻きに着替えてたし・・・
そろそろ行っても大丈夫だよね。
ドキドキと高鳴る胸を抑えて、深呼吸をする。
よしっ大丈夫!全てはシュミレーション通りにやればいいっ
ぐっと握り拳を作って、私は顔を上げる。
そして襖の向こうの彼へと声をかける。
「お、及川さん・・・」
返事はすぐに来た。
「はーい、入っていいよ」
いつもの彼の調子だ。
私はゆっくりと襖を横に引いた。
畳の匂いが高鳴る鼓動を落ち着かせてくれる。
及川さんは掛け布団を折り畳んでそれを背に寝そべってスマホをいじっていた。
「一緒に寝るー?」
「う、うん・・・」
スマホから視線を私に向けて、優しく微笑んでくれる。
当然・・・と言うようにそう言葉を発してくれる日が来るなんて、この家に居候し始めたばかりの頃の私なら想像もつかなかったなぁ、なんて思いながら私は誘われるままに及川さんに歩み寄って行った。
そして敷き布団に膝をついて、ちょこんと彼の隣に体を寄せる。
スマホを弄りながらさりげなく及川さんの左手が私の肩に回った。
誰かと連絡取ってるのかな?
邪魔したら悪いから、何も言わずに彼の体に擦り寄って顔を寄せる。お風呂上がりの彼の匂いに微睡みながらも、タイミングを見計らった・・・
暫くして、及川さんはスマホのアプリでアラームを設定した。明日の起きる時間は7時、と・・・
そうするとポトっとスマホを布団の隅に置き、それから・・・
いつもの及川さんは私の体に覆いかぶさってくる・・・
でも、今日はその逆。
私の上に覆いかぶさってくる及川さんの肩口を押して・・・
私が彼の上に跨った・・・