第34章 Lovers memory③
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「な、なるほど・・・私、できるかな・・・」
国見くんに色々と教えてもらったけど、正直、及川さんと比べて経験極薄な私にそれがちゃんとできるかが問題だ。
不安をポソッと漏らすと、国見くんは口端を釣り上げた。
「及川さんはさ、北村さんが一生懸命やってくれようとするだけで、喜んでくれると思うよ?そもそもセックスで繋がってる関係じゃないでしょ」
「う、うん・・・」
「じゃあ・・・、あとは実践あるのみ。がんばって」
そう言ってくれた国見くん。
ほんと・・・ほんとにこの人は優しい。
「ありがとう・・・。国見くん、私、国見くんには絶対幸せになって欲しい!」
「なに、いきなり・・・」
「だってこんなに私に親切にしてくれるし・・・絶対凄くいい人見つけて、国見くんのこと幸せにしてくれると思う!」
お酒が入ってるから、普段言わないことがぽんぽんと出てくる。
まぁ、本音なんだけどっ
「そうかな・・・。最近失恋してばっかなんだよね、それも同じ人に」
「えっ、国見くん、好きな人いたの!?」
知らなかった、全然そんな素振り見せないから。
失恋してるならかなりダメージ受けてるのに、
ほんと、ポーカーフェイスだよね・・・
でも、すっごい気になる、誰なんだろう。
「いるよ。もう、2年くらいは片想いしてるかな」
「2年も!?その人には、気持ち伝えてるの?」
なんだかこうして国見くんの恋愛話聞くの新鮮だ。
国見くんはやんわりと首を振った。
「言ってないよ。その人は・・・ずっと別の人を想っていたから、俺の入る隙間なんて全然なかったんだ。今は別の人のものだし」
国見くんはその人が好きだけど・・・
その人は別の人が好きだったんだ・・・
別の人のものってことは・・・きっと国見くんの片想いしてる人は別の人と恋人になったんだね・・・
国見くん、すっごい切ない思いしてたんだ・・・
「ご、ごめんね・・・私全然気づいてなかった・・・」
「ふっ・・・なんで北村さんが謝んの」
「だ、だって・・・いつも相談に乗ってくれてるのに、私何も返せてないから・・・こういう時くらい何かしてあげたいし・・・。く、国見くんは、その片想いしてる人に、気持ちは伝えないの!?」