第34章 Lovers memory③
「お、及川さんのえっちが上手すぎるんです・・・っ」
「・・・・・・・・・」
顔を離すと、国見くんは何ともいつも以上に無表情で私を見つめた。
「・・・・・・あ、あのぉ・・・」
バシッ!
「痛い!」
国見くんは私の額にメニューを押し付けてきた。
あぁ、そうなっちゃいますよね。案の定な反応だった。
「ほんっと、くだらない」
聞いて損したと言わんばかりに、はぁーっと長いため息をつく国見くん。そんな彼の裾を私は縋るように掴んだ。
「違うの違うのっ!最後まで聞いてください〜っ!」
国見くんは珍しく心底面倒くさそうに私を向いた。
「及川さんの夜のテクニックとか全然興味ないんだけど」
「ほ、本題はそこじゃなくて、ね?」
なに?と視線で促される。
「その・・・・・・男の人って、そういう行為を女の人が優勢に進めていくのってどう思うのかな!?」
「え・・・?」
ひぇー、言ってしまった!
でも、これは同性に聞いてもわかんないから、こんな事を聞けるのは国見くんしかいなくて、彼に思い切って相談してみた。
「わ、私は結構、及川さんのペースでされるがままになってて・・・それだといつか飽きられちゃうかもしれないって思ってて・・・。で、考えた結果・・・私から攻めて見るのはどうかなって・・・」
何とも恥ずかしい話をしてるけど、国見くんは終始表情を変えずに聞いてくれた。
「つまり、マグロ状態のままだと及川さんに飽きられるから、たまには自分から攻めてみようってことでOK?」
「マグ・・・!?・・・そ、そうですね、はい」
ド直球な言葉に否定はできない。
国見くんは口元に手を当てて言葉を選んでる。
「確かに・・・いくら可愛い恋人でもセックス中、完全受け身って刺激がないかもね」
く、国見くんの口からそんなワードが出てくるのって新鮮・・・と言うより複雑。
いやいや、彼もちゃんとしか成人男性だからね、当たり前か。
「いいと思うよ。まぁ、北村さんがそんなテクニックあるのかは知らないけど・・・」
「ま、全く無いんですよね、それが・・・」
「じゃあ、試してみる?俺で」
「へ!?」