第4章 spring memory④
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飲み会は、有名な中華屋さんで行われた。座敷に円卓があり、7.8人ずつが座れる様になっていて、バレーの選手の人達も2.3名ずつに分かれて座っていた。私の席は・・・あ、国見くんの隣だ、ラッキー。
今回、彼はチームの主務として参加しているため、まだ合流は出来てないけど、私のネームプレートの隣に国見英のそれがあってほっとした。国見くんなら、私が飲まされても、上手く庇ってくれそうだもんね・・・
それから同じテーブルの人達のネームプレートをちらりと見ると・・・
(わ、及川さんも一緒だ・・・・・・)
及川徹のネームプレートを発見。丁度私の向かい側の席だ。
女子達の憧れの的だけれど・・・到底私にはそう思えない・・・。
兎に角、ちょっかいかけずに大人しくいてくれればいいや、そう思った・・・
程なくして、上司や、その上のお偉いさんたちが着席し、最後にバレー部全員がまとまって顔を出した。勿論及川さんもその中にいて、自分の席を探していると、私と目が合った。
「お、りお同じ席なんだ〜」
「しっ、ここじゃ北村って呼んでってば!」
小声で言い合う私たち。やれやれ、とでも言いたげな顔の国見くんがその後ろから顔を出した。
「あ、国見くん、私の隣だよ!」
「なーんで国見ちゃんにはそんな優しいんだよ」
「私の同期だもん。いいでしょ、別に」
「そうそう、寄りかかられっぱなしだけどね」
「う・・・っ」
ニヤリと笑う国見くん。それを見て、同じように、もっと腹黒そうに笑う及川さん。
「あ、なるほどねぇ、まぁ国見ちゃん仕事できるから、りおはついてくの必死だろうね」
「それは冗談ですけど、一生懸命やってくれてますよ、北村さんは」
国見くんの一言でパァァっと世界が開けた気がする。落としてから底上げする、見た目は淡白だけど、実は結構親切だしかっこいい。同期としてとっても好感のもてる人だなぁ・・・
目の前の意地悪大王とは大違い。
「なーにニヤついてんの、りお国見ちゃん狙いなわけ?だったら俺を通してからにしてよね」
「なんでそうなんのよ!」
「それも意味わからないんで。とりあえず席つきましょう」
とりあえず、国見くんの一言で私達はそれぞれの席に座り直した。