• テキストサイズ

おかえり〜I'm home〜(R18)

第33章 Lovers memory②





そして、自分から掴んだ彼の服の裾・・・

「ん・・・?」

及川さんはキョトンとして私を見下ろしてる。
私はハッとして、裾を掴む手を離した。

「・・・・・・どしたの?」

胸の前で手を引き寄せる。
まるで騒がしく鳴り響く鼓動を隠すように。

及川さんは目を細めて私の言葉を待ってる。
言わなきゃ、なにか・・・


「ご、ごめんね」

「ん?・・・何が?」


心当たりがある・・・
きっと、きっとこないだ私が拒絶したからだ。

「さ、触るのダメって言って・・・っ」

だから、怒ってるんだ・・・

勇気を振り絞って言葉を発した。
すると及川さんは相変わらず優しい笑顔を返してくれた。

「ん、全然いいよ。そういう気分な時もあるよね。俺こそごめんね」

そうは言ってくれるけど・・・
どうしても・・・彼の手は私の元には触れてくれない。

謝って欲しいわけじゃ、ないのに・・・。
その手に触れてほしい。
その腕に抱かれて・・・キスをしてほしいなんて私・・・

都合の良い、わがままだよね・・・。

「あ・・・うん・・・」


・・・だめだ。なんだか、胸が苦しい・・・。
きっと私、今泣きそうな顔してる。
こんな顔、及川さんに見られたくない・・・

「そ、それじゃ、ご飯美味しく頂くねっ、ありがとう・・・」

そう言うのが精一杯だった。

「おやすみ・・・」

足早にリビングへいこうとした。


「あーあ、ほんっと、お前ってさ・・・」


及川さんの、ため息交じりの声がした。

そして、次の瞬間、ふわりと後から逞しい腕が伸びてきて・・・
私を抱き寄せた。


「えっ・・・?」

驚いて私は振り向こうとした。でも、そのまま壁に押し付けられて身動きが取れなくなった。

ピタリと頬に壁が当たる。
ひんやりとした感触がして・・・その耳に、及川さんの吐息が触れる。


「もっと素直になりなよ・・・で、して欲しいことちゃんと俺に言いな」

「ぁ・・・・・・っ」

「お前から俺を・・・求めなよ」



/ 376ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp