第32章 Lovers memory①
「あなたに出会えて、変わったみたい。また、人を愛せるようになったんだもの・・・」
「私に・・・?いえ、私は何もしてません・・・ただずっと隣にいて、片想いしてただけです」
本当にそう。私自身は何も・・・
そう思っていると、叔母さんの手が、私の両頬を包んだ。
「そうしてくれたから・・・徹は自分を取り戻したんだと思う。りおちゃんが、弱った徹もひっくるめて・・・好きになってくれたから・・・徹はそんな自分を受け入れて・・・前を向けたんだと思う」
「叔母さん・・・」
じんわりと叔母さんの手の温もりが伝わる。
「りおちゃん、徹を愛してくれて本当にありがとう・・・」
涙がこみ上げてきそうになる。
それを必死に堪え、でも私は・・・こくんと頷くことしか出来なかった。
そんな風に叔母さんが思ってくれていたなんて知らなくて・・・、大好きな人から言われるありがとうは、こんなに嬉しいものなのかって思った。
「意地っ張りな子だけど、りおちゃんのこと、本当に大切にしたいって思ってるから・・・仲良くしてあげてね」
「っ・・・はいっ」
昼下がりの庭で、私たちは女同士の約束を交わした・・・
「あ、でも、ちゃんと避妊はするのよ?授かり婚もいいけど、りおちゃんのママはひっくり返っちゃうかもしれないしね!」
「お、叔母さん・・・っ!」
「もし良かったら買ってきてあげ「大丈夫です!!」
ーーー・・・
「なーんだ、母さんには隠し事はできないってわけね・・・」
「当たり前じゃない。もう、どれだけ長い事あんたの母さんやってると思ってるの」
「そうだねぇ〜、まぁこれからもりおと仲良くやってよ」
「任しときなさい。徹こそ、あんまりりおちゃんのこと困らせちゃダメよ」
「ハイハイ。苛めても母さんにはバレバレなんだしね〜」
「そうよ。あなた達の変化なんてお見通しなんだからっ」
・・・と、言ってはみるものの・・・
息子の部屋に掃除に入った時に、布団から居候している姪っ子の下着が出てきたから、二人が恋人だと確信したなんて事実・・・
口が裂けても言えない叔母だった・・・ーーー