第32章 Lovers memory①
「・・・・・・・・・」
はい?
「え、えーと、叔母さん?どういう・・・」
「あら、あなた達恋人同士じゃないの?ちゃんと恋人らしいこと出来てるのかなって気になってね」
「へ!?」
いぃーっ!?
何で叔母さん知ってるの?!
私はびっくりし過ぎて、危うく洗濯物を地面に落としそうになった。
い、いつから知ってたの!?ていうか何で知ってるの!
「だ、黙っててすみませんでした・・・言うタイミングが無くて・・・徹くんから聞きましたか?」
私がいつまでも言えないでいたの、もやもやしてたみたいだし、及川さんが言ったのかな?なんて思ったりしたけど・・・
「いいのよ!言いづらいわよね、恥ずかしいし。徹から?ううん、何となく、そうなんだろうなぁーって思ってたのよ」
隠してたことを一切咎めずに笑ってくれる叔母さんは、本当に太陽みたいだ。私は小さく胸を撫で下ろした。
「強いて言うなら・・・あの子の母親だからかなぁ」
「え?」
「あの子がりおちゃんを見る目が、すっごく優しくなったの。だから、きっとりおちゃんのこと特別に思ってるんだろうなぁって、ね・・・」
なるほど・・・小さな頃から及川さんを見てきた叔母さんだからこそ言える言葉だと思った。
今まで及川さんの、色んな表情を見てきたから・・・
自分の子供が何を思ってるのかなんて・・・
いつまで経ってもお見通しなんだろうな・・・
「りおちゃん」
「は、はいっ」
改めてそう名前で呼ばれると背筋が伸びる。
だって叔母さんは・・・私の彼氏のお母さんなんだから。
「徹はね・・・前に、一番大切な人を失ってしまって・・・もう、誰も愛さないって・・・そんな風に思ってしまった時期があったの」
「はい・・・」
分かってる・・・。
それが彼をずっとずっと苦しめていた辛い過去だって事も。
その話をする叔母さんは、私が思っているよりもずっとずっと、
及川さんと同じように辛い思いをしたはずだ・・・。
だからこそ、新たに恋人となった私は名乗り出るのが怖かったって言うのも、本音だ・・・
「でもね・・・」
ふっと叔母さんは微笑んだ。
及川さんとよく似た笑みだった・・・