第32章 Lovers memory①
ーーー・・・
及川さんとの関係を、叔母さんに言えないまま・・・
日々は過ぎていった。
過ぎれば過ぎるほど、隠し事してるみたいで心がちくりと痛む。
タイミングを逃したまま、私は引っかかった気持ちを抱いて庭に出て洗濯物を干していた。
「ふぅ・・・」
「どうしたの、りおちゃん。ため息なんて付いちゃって」
隣で洗濯物を一緒に干していた叔母さんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「あっ、いえ!何でもないです!」
やば、無意識にため息付いてた。
変に心配かけたくないのにな・・・。
「最近落ち込んでるみたいだけど・・・それと何か関係があるの?」
心の底から心配そうに、叔母さんは私を見つめてきた。
本当・・・叔母さんは何でもお見通しな、お母さんみたい。
それでいて・・・叔母さんは優しすぎる。
たかが姪っ子の私なんかにこんなに親身になって心配してくれる人なんていない。
「いえ、本当に大丈夫なんです。すみません・・・」
「謝らなくていいのよ。いつも言ってるでしょ、りおちゃんはもう、うちの家族も同然なんだから・・・悩んでる事があるなら言ってね」
叔母さんの気持ちは本当に有難い。
でも、悩みの内容が内容だから言えない。
ごめんなさい、叔母さん・・・。
「ありがとうございます。ほんとに、大丈夫なんです」
そう言って困ったように笑うと、叔母さんはそれ以上は何も言わずにいてくれた。
「そっか。じゃあ大丈夫なら、また叔母さんとカフェ巡り付き合ってくれる?」
叔母さんは和やかに微笑んで言ってくれた。
私はぱあっと顔を輝かせて頷いた。
「はい!是非っ」
及川さんがイタリアに行っている間、叔母さんとの仲はより深まったと思う。よく叔母さんと出かけるようになったし、さっき言ったみたいにカフェ巡りも結構頻繁に行ったり。
お互い女だから話は尽きないし、及川さんと違って意地悪の欠けらも無い叔母さんといるのが私は居心地が良かった。
「そう言えば、叔母さんおじゃま虫してない?ちゃんと徹と上手くやってる?」