第32章 Lovers memory①
及川さんは、恋人になったその日にでも叔母さんに言おうとしてたけど、恥ずかしくて私が止めた。
だってずっといとこ同士だったのに、いきなり恋人だなんて、ね・・・
そうして二人の関係を言えないまま、日々を過ごしていくうちに完全にタイミングを逃してしまい、
叔母さんのいない所で隠れてコソコソと関係を持っているのが申し訳なくなってきた。
「言っちゃえば、楽だけど・・・」
「だから何回も言ってんじゃん」
「でも、変に気遣われそうだし・・・」
家あける回数が多くなったり、叔母さんの事だから二人で旅行行きなさいよ〜なんて言い出しちゃうかも。
朝昼晩、及川さんと一緒にいれるのに、
羞恥心があって堂々と恋人宣言できない・・・
ん〜もう、どうしよう!
「そんなに俺の恋人だって言うの・・・やなの?」
「ちが、そういう事じゃなくて・・・」
及川さんの言葉に、はっと振り返った。
てっきり落ち込んでるのかと思ったら、
振り向いた先の及川さんは引っかかったな、とでも言いたげにニヤリと口端を釣り上げた。
そしてぐいっと私の体を抱き寄せた。
「んんっ」
すぐさま唇を奪われて、及川さんの舌が入ってくる。
甘く口の中で蕩けたチョコをまとまりつかせた舌が、私の口の中で暴れる。
チョコのほろ苦さと甘さ・・・それとねっとりとした舌が絡み合って私は体の力が抜けていく。
「ぁ・・・っん」
ダメ・・・下に、叔母さんがいるのに・・・
いやいや、と及川さんの胸板を押すけど、今日はビクともしない。
「ん〜っ!」
やがて息苦しくなり、涙目になってポカポカと胸板を叩くと、及川さんはやっと唇を離して解放してくれた。
でも、
「今日は、もうやめてやんない」
彼は痺れを切らしたように、私の服の中をまさぐり始めた・・・ーーー