第32章 Lovers memory①
及川さんと晴れて恋人同士になり、
彼が短期移籍を終えイタリアから完全に帰ってきた。
これからは、恋人としてずっと一緒にいられる。
そう恋人として・・・
ん・・・?恋人としてってことは・・・
《Lovers memory①》
「りお、醤油とって」
「りお、こないだ観たいって言ってた映画、今日行く?」
「りお、俺の好きなあの店セールやってる。見に行こうよ」
恋人になった及川さんは、特に何も変わらない。
一緒に食事をして、一緒に映画を観たり、一緒に買い物に行ったり・・・
元々、恋人になる前から、休日は一緒にいる事が多くて、それが当たり前だった。
でも、1年間離れて暮らして・・・及川さんがいない日常を知ってから、またこうして前みたいに一緒の時間を過ごすと、その時間は当たり前じゃなく、かけがえない幸せなことなんだってわかった。
だから、恋人同士になっても変わらないこの時間を当たり前と思わずに噛み締めていこうと思った。
けど、唯一、恋人になる前とは変わったことがある。
それは・・・