第30章 epilogue
《及川side》
ーーー・・・
「もしもし?おっ、声でわかったよ。ママは?・・・そっか。パパ、今、駅ついたからもうすぐ着くってママに言っといてくれる?・・・うん、サンキューね〜、はーい・・・」
そうして電話を切り、最寄り駅の改札を通り抜ける。
駅の出口で、見慣れたジャージ姿を見つけた・・・
「いーわちゃーん!!」
「おう」
相変わらず鋭い目付きで俺の幼馴染は振り返った。きっと生徒を指導する時はもっと厳しい目付きをしてるんだろうなぁ。
まっ、俺は全然、怖くないけどね〜
「久しぶり!・・・てか最近会う度に久しぶりって言ってる気がするね」
「まぁな。それはお前が国内国外飛び回ってっからだろ」
「ははは、まぁ、それはそうだね。ってそうだ、はいこれ!こないだ行った、オーストラリアのお土産」
そう言って紙袋を差し出す。
「おう、いつもさんきゅな」
岩ちゃんは片手で受け取って・・・それから俺たちは並んで歩いた。
「つか岩ちゃん、これから俺ん家来てよ!」
「俺がか?」
驚く岩ちゃんにこくんと頷いて返す。
「うんっ。青城の監督に就任した岩泉先生の話聞きたいしさ」
「お前の家がいいならいいが・・・迷惑じゃねぇか?二ヶ月ぶりに帰ってきたんだろ?家族水入らず邪魔しちゃ悪いしよ」
「そんなことないないっ。暫くはこっちにいるし・・・嬉しいことは多い方がいいじゃん」
「・・・そうか?」
お、これは来てくれる感じかな?手応えあるねぇ〜
「それにうちのチビは岩ちゃんのこと大好きだかんね。俺に似て」
そう言ってウィンクとピースをするけど、岩ちゃんにギロっと睨まれたからすぐやめた。
女の子にしたらみーんなこれで失神ものなのに・・・
あー、あいつはしないか・・・
「チビ川はいいが、お前に好かれてると思うと寒気がする」
「酷いな岩ちゃん!」
こうして変わらない会話をしながら、夕焼けに照らされる帰路についた・・・