第30章 epilogue
そうして時は流れに流れて・・・
7年の年月が経った・・・
ーーー・・・
《さぁ、今日のゲストはこの方!今や日本バレー界を代表する選手と言っても過言ではないでしょうこの人!及川徹選手でーす!!甘いマスクの裏に秘める、及川選手の熱いバレー魂を徹底解剖しちゃいますっ》
キッチンでポトフを作りながら、何となく付けていたテレビの音声が耳に入る。
ふふ・・・甘いマスクだって・・・。
彼が聞いたらまた浮かれちゃうわね、なんて思っていたら、ててててとこちらに向かってくる小さな足音がする・・・
「ママ!ママまたパパがテレビでてるよ!」
そう教えてくれる。彼によく似た笑顔で。
「ほんと?凄いねぇ、パパ」
「うん!でもあれ?パパはまだ"がいこく"にいるの?」
テレビに映っている彼のいる場所が、異国の地だからか、不思議そうに首を傾げている姿が愛おしい。
「ううん、きっとこれは向こうにいた時に撮ったやつなんだよ。パパはちゃんと、今日帰ってくるよ」
「ほんと!?ほんとのほんと?」
「うん、ほんとのほんと」
「やったぁー!パパかえってくるんだー!」
そう言って小さな体がぴょんぴょんと跳ねる。彼と同じ色をした頭・・・
「ふふ・・・ほんとにパパが好きね・・・」
「うん!だってパパ、バレーしてるときかっこいいもん!ぼくもパパみたいにバレーじょうずになって、ママみたいなおよめさんもらうんだ!」
「あら?ママみたいって・・・ママはお嫁さんにしてくれないの?」
そう拗ねた振りをして尋ねると、ブンブンと首を横に振った。
「ママはパパがもらったからあげなーいって、パパにいわれちゃったんだぁ。だからママはもらえないっ」
もう・・・子供相手に、いつまで経っても子供っぽい所あるんだから・・・と苦笑いするも内心嬉しくないわけじゃなかった。