第29章 1 years later②
「ま、まだ昼間だしっ、隣の家の人に見えちゃう!」
「カーテン閉めたら問題ないし」
「和食食べなくていいの!?」
「和食よりお前が食べたい」
「!?・・・お、及川さん、帰ってきたばっかで疲れてるから!」
「お前抱いたあとに沢山休めるから大丈夫」
「だっ・・・!?」
私の言葉はことごとく役に立たずに切り捨てられる。
そしてあっさりとこの後の行為のことを予告されて、もう頭がショートする寸前だった。
及川さんは乱れた私の首筋に顔を埋めた。
熱い吐息を肌で感じる。
くくくく、食われるっ
「もうさ・・・色々と限界なんだよ」
「え?」
はぁーっと深く息を吐く及川さん。
暴れるのをやめて、及川さんの低い声に耳を傾ける。
「あっちにいる間、ずーっと我慢してきた。お前に俺の気持ち伝えて、こうして抱きしめんの」
「私に・・・?」
「日本を経つ前に、俺の気持ち言ってしまおうかなって思ったけど・・・そしたらりおの自由を奪うことになるから・・・言わないでいたんだよね」
私の自由って・・・馬鹿だなぁ。
私の心はいつだって及川さんのことばかり想ってたのに・・・
男の人との接点はあったけど心移りなんて、できなかったよ・・・
それくらいあなたに夢中だったから。
「何度一時帰国して、会いに行こうって思ったか・・・でも、俺の目的は達成されてないから、そんな中途半端な気持ちで会うとか、お前に笑われそうでずっと我慢してた・・・」
そっか・・・
会いたくてたまらなかったのは・・・私一人じゃなかったんだね。
「それでやっと会いに来れて・・・、前よりももっと可愛くなってるお前見たら、余裕とか全部吹っ飛んだ・・・」
おかしくなりそうって言ってたの・・・このことだったのかな。
彼が本心を口にするたびに愛しさがこみ上げてくる。
なんて・・・、なんて可愛い人なんだろう。
「だからお願い、りお・・・」
熱に浮かされたように私の名前を呼ぶ。
「俺のものになってほしい」
あぁ、もう・・・
世界で一番幸せなお願いに違いないよ。
甘えるような瞳に、私は溺れてしまいそう。
「・・・・・・うん、いいよ」
おずおずと、私は彼の首に抱きつく。
「・・・りお?」
優しく私を抱きしめる及川さん・・・
「私を及川さんのものにして・・・」