第28章 1 years later①
そう言われて、私は改めて及川さんの姿を頭の上からつま先までまじまじと見た。
とび色の様な茶色の髪に、白いシャツをラフに着こなす姿はやっぱりモデルみたいにかっこいいし、それになんだか、また一段と大きく逞しく見える・・・
本当に・・・本当に及川さんなんだ。
「リーグ終わって、一週間の休みが貰えたから、直行で帰ってきた。お前に一番に会いたくて」
「私に・・・?」
なんでそう、また嬉しい事言ってくれるの・・・
目の前にいるのは、彼なのに・・・
散々会いたかった人なのに・・・
そんなことを言ってくれるなんて思わなくて・・・
「りお・・・」
頬を赤く染める私の顎をクイッと持ちあげて、及川さんは口端を釣り上げた。もう片方の手は腰に回り、優しく抱き寄せられる。
「俺まださっきの返事聞いてないんだけど?」
「あ・・・」
「返事は、"はい"か"Yes"しか受け付けないから」
それって・・・。
私は恥ずかしくて、困ったように及川さんを見上げた。
彼はいつもの、あの意地悪な笑顔で私のことを見て楽しんでる。
「言えないの・・・?じゃあ行為で見せてよ。そうじゃあ、俺を恋人に選んでくれるなら、・・・りおからキスして」
「っ・・・!」
こんな時までそんなこと言うの・・・
ほんとにずるい・・・。
「早く〜」
私が断れないの、分かってるくせにっ
・・・・・・・・・よし。
私は覚悟を決めて、及川さんの頬に再び手を添えた・・・。