第28章 1 years later①
「俺はりおが好きだよ。・・・俺の恋人になってくれるよね?」
「っ!」
ずっと、ずっと、ずっと・・・
会いたかった人が、今目の前にいる。
会いたくてどれだけの夜をこえてきただろう、
それくらい長い間、想い続けて来た人が・・・
「及川さんっ!!」
私は迷わずその胸に飛び込んだ。そして腕を回してぎゅっと抱きしめる。
もう離さないってくらい、強く、強く。
溢れる涙は止まらなくて・・・私は大好きな彼の匂いに顔を埋めた。
「及川さんっ、・・・及川さぁんっ」
「はいはい、予想はしてたけど泣き過ぎね、お前」
頭の上でくすりと笑う声がする。
そして私の背中をあやす様に撫でる優しい手の温もりを感じる。
でも、私は全然涙が止まらなくて・・・
次第にひっく、ひっくとしゃくりあげる始末だ。
それでも、私は口元を押さえ、
ゆっくり深呼吸をして、及川さんを見上げた。
「ぉっ・・・」
「ん?」
「・・・おかえりなさぁい・・・っ!!」
もう涙でぐしゃぐしゃの視界では及川さんの表情はうまく見えなかった・・・
だけど、彼の帰りを、一番に喜びたくて・・・
その言葉が口から出た。
「ぷっ、あはははは!」
及川さんはとうとう本格的に笑い出した。
屈託のない、無垢な笑顔で。
私は鼻をすすって、恥ずかしくて俯いた。
すると及川さんは、そんな私のことを抱きすくめた。
「やっぱ最高だよ、お前は」
満足そうに再び私の頭を撫でてくる及川さん。
「ただいま、りお・・・」
あぁ、大好きな人が名前を呼んでくれてる。
私、今、及川さんの腕の中にいる・・・
私は涙を拭ってを上げ、及川さんを見上げた。
すぐ近くにあるその端正な顔に手を伸ばす・・・
「ん?」
及川さんの綺麗な瞳に吸い込まれそうになる・・・
「いでででででで!!」
むぎゅっと及川さんの頬を抓った。
「ちょっ、何すんのさ痛いじゃん!」
「や、夢じゃないよね・・・って思って・・・」
「自分の抓んなよ!」
抓られた頬を擦りながら及川さんはため息をついて私を見下ろした。
そして腕を左右大きく広げた。
「ほら、夢じゃないし、幽霊でもない。正真正銘、お前の大好きな及川さんだよ」