第28章 1 years later①
私の方だって、及川さんには言ってないけど、
何も無いわけじゃなかった。
4月には新入社員が入ってきて、私が仕事を教える役になった時、教わる側の新卒の男の子に告白されたこともあるし、
8月には、別の上司の人に花火大会に誘われたりもしたんだから・・・。
及川さんと私の関係を知らない職場のお姉様方に、全く男っ気がないと思われて、交流会という名の合コンにも連れていかれたこともあった。
そこで連絡先を聞かれた男性とは、連絡を取り合って、誘われた食事に行った際に結婚を前提に付き合ってほしいとも言われた。
今年間違いなく、人生最大のモテ期だった私だけど・・・
何故だろう・・・。
別に待ってるなんて言った覚えもないし、
待っててなんて、言われた覚えもない・・・。
だから及川さん以外を好きになっても、いいのに・・・
誰とデートをして、
誰とご飯を食べて、
誰と笑っていても・・・
心は彼を恋しがってた。
その温もりに触れたくて、たまらなかった・・・。
これで婚期を逃しちゃったとしたら・・・
全部及川さんのせいにしちゃうんだから。
私を夢中にさせた・・・あなたのせいよって・・・。
そうして誰とも恋愛をすることもなく、時は過ぎていき・・・
気づけば再び、ここに来て3度目の3月を迎えようとしていた・・・