第27章 Winter memory⑧
「人の気持ちに絶対なんてない・・・。だからこの先、お前が俺を好きでい続けてくれる保証なんてどこにもない。お前の前に、俺よりもいい男が現れるかもしれない」
「そんなこと・・・」
無いよって、言いたいけれど、
一度裏切られた貴方は簡単には頷けないよね。
「だけど・・・」
え・・・?
握った手に力が込められる。
再び引き寄せられて、抱きしめられる体。
「お前がそいつを好きになったとしても・・・俺は向こうで、毎日、呆れるくらいお前のことを想うよ」
耳元ではっきりと告げられる及川さんの言葉が、
私の心を射抜いた・・・
「わ、私だって・・・!毎日毎秒だって及川さんのこと考えるしっ!」
及川さんの胸板を押して体を離し、
何故か及川さんに負けじとそんなことばかり口から出る。
及川さんは一瞬ぽかんとした顔をしたけど、すぐにぷっと吹き出した。
「俺がいないからって、他の男の前で泣くなよ」
「そっちこそ!私のご飯がないからってレトルトのご飯ばっかり食べてたらただじゃおかないわよ!」
そう鼻先に人差し指を当てて言ってやった。
及川さんは呆れたように苦笑いを浮かべる・・・
「ほーんと、最後まで可愛くない女・・・でも」
「わわっ!」
ぐっと肩を押されて私の体がそのまま後ろに倒される。及川さんも道ずれになって、気づけば柔らかいカーペットの上で及川さんに押し倒される形になっていて、顔が赤くなる。
そんな私を可笑しそうに見下ろす及川さんの手が、頬や唇に触れた・・・
「そういうところが・・・馬鹿みたいに可愛い・・・」
熱を含んだような甘い声に胸がきゅっとする感覚を覚える。
次第に及川さんの顔が降りてきて・・・