第25章 Winter memory⑥
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国見くんの言った通り、暫くして会場前方の壇上にはさっきまで一緒に食べたり呑んだりしていた選手の皆が集まって、監督が挨拶を始めた。
監督の話を聞いていると、リーグ優勝を二年連続で成し遂げたのはチーム創設初の偉業らしく、改めて凄いチームなんだと実感した。
バレーは1人じゃ絶対勝てないスポーツ。キャプテンも、エースも、リベロも、控えで待ってる選手も、監督も、国見くんたちスタッフも全員がチームの勝利のためにそれぞれの役割を果たせたから・・・今があるんだ。皆の晴れやかな顔を見ていると、本当に改めて心からおめでとうと祝福したくなるチームだなぁ。
ってあれ?選手の人たちの中に、あの人の姿が見当たらない・・・
(・・・及川さんの姿が無い)
さっきまで皆の輪の中にいたのに・・・
どこいっちゃったんだろう。
及川さんの姿がないまま、選手1人1人が挨拶していく・・・
新人、2年目、3年目と所属年数の若い選手から挨拶し、及川さんより年上のベテランの人たちも続き、最後にキャプテンが涙ながらに話を終える。
「・・・最後になりましたが、このチームを陰ながら支え続け、僕たち若手のチームを導いてくれた及川選手から皆さんに挨拶をしたいと思います」
・・・なんだ、及川さんちゃんといるのね。
そうホッと胸をなで下ろしたのも束の間・・・
私は目を丸くすることになる。
え・・・?
コツン、コツンと革靴を鳴らして壇上に、上がった及川さんはさっきとは打って変わってかっちりとした黒のスーツ姿で登場した。
突然、スーツ姿で登場した及川さんに、チームメイト以外の人はざわつく。そのざわつきの中、及川さんはスタンドマイクの前に立ち、すぅっと息を吸った。
「皆さん、本日はこの様な素敵な会を開いて頂き誠にありがとうございます。この度、僕達が二連覇を成し遂げることが出来たのもひとえに日頃から応援して下さっていた会社の皆様、ファンの皆様のおかげです。本当にありがとうございました」
畏まった挨拶から始まり、深く頭を下げる。