第25章 Winter memory⑥
一瞬、しんと静まり返る場内。
ピーーーッ!
笛の音と共に・・・
現実へと、引き戻される感覚を覚えた。
及川さんはぐっと握った拳を天井へ突き上げた。
「っしゃあぁぁぁ!」
ワァッと割れんばかりの歓声が響く。
勝った・・・勝ったんだ!
10ー14からの奇跡の大逆転。
それも、及川さんのサーブを皮切りに大ブレイクした。
チームメイトが及川さんに次々と抱きつく。
中には感激して涙する人も・・・
私の目からも、自然と涙が溢れる。
今ここで、及川さんたちは日本一のチームになった。二連覇だ。
二連覇するために、及川さんたちは必死で練習してきた。その努力が報われた瞬間を目の当たりにして・・・言葉が出なかった・・・
良かった。良かった・・・ほんとに!
隣を見ると叔母さんも目を真っ赤にして、泣いてる。
そうだよね、叔母さんは・・・
今まで一番近くで支えてきてたんだもんね。
私も・・・ずっと及川さんのことを見ていたから・・・
こんなに胸が熱くなるのかな。
本当に、本当におめでとう、及川さん・・・っ