第25章 Winter memory⑥
"俺一人じゃ、表彰台に登ることって出来ないんだよ。表彰台どころか・・・試合に勝つことも、試合することもできないね。
だから俺は、今ここで仲間と一緒にバレーができることが幸せで仕方ないんだよね。
仲間が上げてくれたボールをトスにしたい。
アタッカーが最高打点で打てるトスを上げたい。
もっと上へ・・・
みんなと、最高の景色を見に行きたいんだよ"
普段こんな熱いこと言わない人なのに・・・
私に打ち明けてくれたあなたの思いは、
ちゃんとみんなに伝わってるよ、繋がってるよ・・・
再び高い所へとボールが浮かび、それを叩く及川さん。
ジャンプサーブは容赦ないスピードで、強さで、
相手コートへ。
レシーバーを襲うようにその腕を拒絶するように弾かれた。
弾いたボールを、他の五人が追いかける。
でも
ボールは、あと数十センチ・・・届くことなく床に落ちた。