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おかえり〜I'm home〜(R18)

第3章 spring memory③





「ふんふふーんふふーん♪」

いっそう匂いが強くなる。
鼻歌交じりにキッチンに立つ及川さんの背中を見つけた。

扉が開く音に反応して、くるりとこちらを振り向く、こげ茶色の髪をした及川さん・・・ニッコリと微笑む。

くそう、今日もむかつくくらいイケメンだ。

「あ、起きたんだ〜おっはよ」

「・・・はよう」

この家に住まわせて貰って、こうして二人きりになるのって初めてだったりする。
新人研修で私も忙しかったし、たまーにここでテレビを見てるのを目撃するけど、叔母さんがいたりで、二人きりになることは無かった。

あの、初めて会った時のことが急に思い出されて、また頭が痛くなる。

「気分どう?吐き気とかは?」

勝手に頭痛を起こしている私に、意外と優しい言葉がかけられた。
二日酔いには優しい人なんだ、意外・・・

こくんと頷くと、及川さんはやれやれと息をついた。

「ほんと昨日は大変だったよ。リビングまでスリッパ片方履かないでくるし、そのまま缶ビール一気しようとするし・・・」

「え!やっぱりやらかしてたの、私・・・」

あちゃ〜。よりによってこの人の前で醜態晒してたんだ。全然思い出せないけど。

「そのまま寝ちゃうしさ。よく店からこの家まで帰ってこれたよね」

う・・・何も言い返せない、申し訳なくて。

あれ?待てよ?寝ちゃったってことは・・・

「もしかして・・・、部屋まで運んでくれたの?」

リビングで寝たって言うのに、自室のベッドで目を覚ましたってことは・・・

「運んだよ。ここで寝て、風邪ひかれたら困るからね」

ま、じかー。運んでくれたんだ。ってことは・・・

「え・・・上着かけてくれたり・・・もしかしてビニール袋も?」

そうか、あれは私が夜中気持ち悪くなって吐いてもいい用の袋だったんだ。

「上着は掛けたよ。シワになるし・・・流石に他の服は脱がせらんなかったけど・・・」

「・・・・・・・・・」

申し訳なくて何も言えなかった。

何か全然そんなふうに見えないけど・・・、意外と優しい所あるんだ・・・ちょっとはいい所あるんじゃん。

「脱がせんのは豊胸完了してからがいいからねっ♪」

・・・・・・・・・

前言撤回。彼は彼のままだったな。

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