第24章 Winter memory⑤
《 Winter memory⑤ 》
りおside
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宮城の冬は極寒だなぁ。どれだけ着込んで寒さ対策したってまだまだ寒い。
今日もしっかりと防寒対策をしてリビングを出ようとしたら、及川さんに声をかけられた。
「だからさ、いっつも車で送ってるんだからそんな重ね着しなくたっていいじゃん」
「あ、うん・・・でも外出たら寒いしね?」
及川さんは私が秋頃に捻挫してから、私が出社する時は毎日車で送ってくれている。それは年が明けてからも変わらずで。
でも、私は送ってもらうのが当たり前にはなりたくなくて、毎日自分の足で出社するつもりで早起きして用意もするし、あったかい格好をしている。及川さんはそれに対して口を尖らせている。
好意は有難いけどね、それが日常になってリーグを頑張ってる及川さんの負担にはなりたくないからなぁ。
「全く・・・俺が車出すのが当たり前になりたくないからってそんな格好してんのかもしれないけど、お前はうちのもんなんだし遠慮いらないって、母さんにも言われてんじゃん」
「うっ・・・」
図星をつかれて私は靴を履く手が止まる。
やっぱり私の考えてる事は及川さんにはバレバレなようだった。
「変な遠慮とか、ほんと要らないからね」
及川さんと、叔母さん、二人は本当によくしてくれて、
私を家族のようにここに置いてくれている。
そもそも大晦日だって家族でゆっくりしたいのに、居候の私も誘って初日の出に連れて行ってくれたり、叔母さんの作った御節料理はどれも舌を巻くほどの絶品だった。
"りおちゃんは家族も同然だからね"
そう言って、迎え入れてくれる事が毎日幸せだった・・・
けど・・・
その幸せな日々も、突然終わりを告げることになる・・・ーーー