第24章 Winter memory⑤
きっかけは、職場だったーーー・・・
「おはようございます!」
「お〜北村さんおはよう。今日も一番始めに出社してるね!」
同じ部署の先輩が顔を出すと私は、デスクを掃除していた手を止めて顔を上げる。
入社してからもうすぐ一年経とうとしているけど、毎日誰よりも早く出社して職場を簡単に掃除するのが日課になっていた。
朝、みんなが来た時に、
気持ちよく仕事に取り組んでほしいからね。
そんな日課を続けて一年経つなんて・・・ほんと時間ってあっという間に過ぎていくんだと感じる。
毎日、及川さんと一緒にいられて、充実してるからだろうなぁ・・・
何も変わり映えの無い私たちの関係だけれど、及川さんの側にいれるだけで・・・幸せだった。
こんなこと、当のナルシストには絶対言ってやらないけど。
「じゃあ朝から働き者の北村さんに、嬉しいニュースをいち早くお届けしようかな」
「え?」
先輩が何やら書類を持っているのに気がついた。
それを、みんなのポストに入れていってる。
はいこれ北村さんの分、と手渡された1枚の紙には・・・
『社宅完成の知らせ』
「え・・・・・・?」