第23章 Winter memory④
《岩泉side 》
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今日は元旦。生徒を連れて地元の神社に参拝しに来ていたら、何か見知った二人組がはしゃいでた。
声をかけてみたら案の定、アホ川とその従姉妹、りおだった。
「い、岩泉さん!?」
りおは驚いた様子でこっちを見てる。
「あら、岩ちゃんじゃんっ!あけおめことよろ〜」
及川は相変わらずヘラヘラした表情でこっちに向かってくる。ムカつくから顔面掴んでやると、ぎゃっと小物みたいな悲鳴を漏らした。
「新年早々酷いよ岩ちゃん!今年はもうちょっと俺に優しく接してよね!」
「新年早々うるせぇ、及川。てめぇはそのヘラヘラした顔どうにかしろ」
「あけましておめでとうございます。岩泉さんも参拝ですか?」
ちょこちょこと寄ってくるりお。相変わらずちっこいな。
普段男子高校生ばっか見てるからか、こいつは余計に小さく見えた。
初対面の頃は俺にビビってたのはわかるが、今は慣れてきたみたいで普通に笑って話してくれる。
「青城が春高に出場するから、それの必勝祈願も兼ねて、な」
「え、春高!?春高って、春の高校バレーって言う、全国大会の事ですよね!?」
目を丸くさせて驚くりお。なんだ、及川には言ってたのにりおに言ってなかったのかよ。ちらっと及川を見ると、
あ、言うの忘れてたかも〜って感じの顔をして俺から目を逸らしている。
「ああ。今年のチームが初出場だからな。神頼みって訳じゃねぇけど、地元の神社参拝して、いいゲン担ぎ出来たらなって思ってな」
「すっご〜い!ホントに凄いです!いつから何ですか?」
「明日、ここを発って東京へ行く。それから東京で数日練習したら、本戦だな」
俺の言葉を、目をキラキラさせて聞いているりお。
インハイ予選にも来てくれたし、本線前に練習にも来てくれた、
ただただうちのチームを応援してくれる良い奴だなぁって心底思う。
本気で、及川には勿体ねぇ。
「本当に凄いです!私、東京には行けないんですけど、ここから応援してるんで、本当頑張って下さい!」
「ああ、ありがとうな」
「ちょっとりお〜?後輩の応援もいいけど、及川さんとこのチームの応援もしてくれる?俺たち再来週からリーグ再開するんだから」
唇を尖らせた及川がオレら間に割って入った。