第23章 Winter memory④
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一月一日、元旦であるこの日はどこの神社も人人人。
どんな小さな神社も人、人、人で溢れていた。
どうせ人が多いなら、俺がいつもお参りする神社行こうよって、
今年は実家には帰らずこっちで年越しをした私を及川さんが連れていってくれたのは近所の割と大きな神社だった。
人は多いけど、東京の明治神宮とか湯島天神よりは全然マシだった。あそこは、本当に人が集まるから小柄な私にとっては人に押し潰されるから過酷な参拝だ。
「はぐれたら置いていくからね」
「なんでそこは探してくれないの」
また意地悪を言われた私は及川さんとはぐれないようにてくてくと彼の背中を追っていく。ものの10数分には最前列の位置まで来ることが出来たから、こんなに参拝って楽なんだって感動した。
二人でお賽銭を入れて、二礼二拍手、お願い事をする。
最後に一礼して石段を下りていく・・・。
「あ、及川さん」
「ん?」
「私、絵馬書きたいなぁ〜」
折角お参りに来たから、という私の願いを及川さんは聞いてくれた。二人分の絵馬を貰い、願い事を書いていく。
(へへ・・・完成っと♪)
満足気に完成した絵馬を見ていると、後から気配を感じた。
ばっと背中を向けて、その気配から絵馬を隠す。
「ちょっ、何隠してんの」
背後から私の書いた絵馬をのぞき見ようとした及川さんは口を尖らせた。
「なーいしょ!」
だって、私の願いは及川さん絡みだから見られるのは恥ずかしい。
「はぁ?りおのクセに生意気なんだけど」
及川さんはうだるように私を睨んだ。
「ふふ、そんな睨んでも見せませんよーだっ。及川さんこそ、何て書いたの?」
及川さんの持っていた絵馬を見ようとすると、ひょいっと高い位置に持ち上げられた。
・・・む。
「・・・見せてよっ」
「やーだね!俺の願いは尊いからりおが見れる訳ないんです〜」
舌を出して、裏返しにした絵馬をヒラヒラと降る。ほんっと、仕草が子供なんだから。
「尊いって・・・なにそれ」
「りおが見せてくれんなら見せてあげてもいいけど?」
「それはぜーったいに嫌!」
「じゃ俺も見せてやんないっ」
両者一歩も引かずにいると・・・
「何やってんだよ」
「・・・い、岩泉さん!?」