第3章 spring memory③
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そのまま大人しくなったりお。
え、まじで?
「・・・・・・寝たの?」
腕の中を除くと気持ちよさそうに目を閉じて規則正しい寝息を立てるりお。嘘でしょ・・・?
この状況で?男の腕の中なんだけど。そんなことお構い無しに眠りこけるりおに、俺は拍子抜けした。
まぁ、大方、入社して新人研修とかレポートとか、人間関係とか新しい環境に慣れるのに色々疲れたんだろうね・・・。毎朝早くに出社してるみたいだし・・・
そう思わせるような目の下のクマが、ファンデーションで隠していても分かっていた。
「おつかれさま・・・」
ぽんぽんと、頭を撫でると、ん・・・と身じろぎをして胸に顔を埋めてくる。ちょっとちょっと・・・
「そんな無防備で・・・襲われたって、文句言えないよ・・・」
はぁ・・・とため息を付きながら、俺はりおの体を抱き上げる。
女の子特有の、柔らかい体と温もり。無防備な寝顔、赤い唇。
「ほーんと、ここで野獣にならない俺の紳士さ、認めてほしいよね」
そう言いながら、りおの部屋を目指したーーー・・・