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おかえり〜I'm home〜(R18)

第22章 Winter memory③





「及川、うるせ。準備できたんならこっち来て野菜切れ」

「岩ちゃんまで、俺の扱い雑すぎるよ!」

キッチンから鬼の形相で顔を出した岩泉さんに怒られ、しゅんと肩を落とす及川さん。
久しぶりだな、こんな及川さん。


「りお・・・だっけか?」

「あ、はいっ」

茶髪の方・・・花巻さんに手招きされてついて行く。

「鍋とかの具材の準備は野郎二人がやってくれっから、こっちで俺たちはケーキのデコレーションしようぜ」

「はい!わ!綺麗に焼けてますね、スポンジ!」


テーブルの上には絵に書いたように上手に焼き上がったケーキのスポンジがあった。そして黒髪の猫っ毛の人、松川さんの手には既に泡立てられたホイップクリームの入ったボウルがあった。

「松川ん家の母ちゃんが焼いてくれたんだ。美味いんだぞ〜」

既に3層にカットされているそのスポンジを見ていると、バターナイフを渡される。

「ん。」

「あ、ありがとうございます、松川さん」

「女の子なら、こういうの好きだろ?」

花巻さんがスライスされた苺のお皿を持ってきた。

「はいっ、料理とかお菓子作りとか好きなんです。及川さんのお母さんの誕生日にもケーキを作ったりしたんですよ」

そう言うと、花巻さんはヒュウと口笛を吹いた。

「なるほどな!なら、安心して任せられんな」

「及川の母さんか、久々に会いたいな」

「俺らもよく飯食わせて貰ってたしなぁ。あ〜懐かし」

クリームをスポンジに塗りながら、昔を振り返るように言葉を漏らす花巻さんと松川さん。

「そうなんですか。叔母さんの作るご飯美味しいですよねっ」

「そうそ。で、キャラもおもしれーんだよな!」

不思議だなぁ。今日初めて会うのに同じ話題で盛り上がれるなんて。二人とも気さくな人だし、及川さんの周りはほんといい人で溢れてるなぁ。そう感じずにはいられない。

「東京から来たんだってな。もうこっちの生活には慣れたか?」

クリームを丁寧に広げながら、松川さんはそう尋ねてきた。

「そうですね。大分慣れてきたと思います」

「それは良かった。及川のやつに虐められたりしてないか?」


うっ・・・それは日常茶飯事にある。

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