第22章 Winter memory③
「なるほど〜とか、何余裕そうな顔してんの。もっと不機嫌な顔とかしたら?」
「ええっ?!」
何故か眉間にしわを寄せている及川さん。
「大好きな及川さんが美女とデートしたんだよ?もっと嫉妬とかしない訳?」
「嫉妬って・・・でも仕方ないことだしって割り切ってた」
私の言葉に、むうっと頬を膨らませてる。
なんだろう、嫉妬して欲しかったのかな?
そりゃあ女なんだし、モヤモヤしてたけどさぁ、
「でも、夜は空けといてって言われてたから嫉妬してるより、それを楽しみにしてた、へへ」
なーんて、ちょっと可愛く言ってみたけど・・・
私の頬を摘まんだまま、及川さんは静止してた。あれ・・・?
「ん?及川さん?」
すると及川さんはぱっと摘んでいた手を離して、私から目をそらしてしまった。
「ふ〜ん、単純な女だよねお前って」
あ、この態度は何を意味してるのかもうわかる。
これは、ちょっと照れてて、それを隠すためにクールを装ってる時の反応だ・・・。
最近、及川さんの言動の意味も分かり始めてきたんだよね。
及川さんも結構、単純なんだから・・・なんて言ったらそれこそ機嫌損ねちゃうから言わないけど。
「ふふ・・・」
「何笑ってんの」
「べっつに?これから何するのか楽しみなだけですよ〜?」
すると及川さんは思い出したように、あ、と声を漏らした。
「そう言えばあれ用意した?クリスマスプレゼント2000円分」
「あ、うん。持ってきてるよ、バッグに入ってる」
前もって及川さんに言われてた。2000円ってプレゼントにしては結構アレな気もしたけど、とりあえず用意はしている。
「OK。それなら大丈夫だね」
「一体どこに行く気なの?」
「もうすぐ着くから、それまでのお楽しみだよ」