第21章 Winter memory②
「もう結構前から及川さんのファンだし、毎年及川さんの誕生日には大きなケーキとプレゼントがチームに届くんだよ」
そ、そうなんだ。誕生日も知らなかった私からすると、確実にその人の方が上手だ〜
「で、何度も何度も社長を通して食事に行きたいって言ってきたから、流石に断り続けるのも、チームと会社の関係にヒビ入るのやだったから・・・及川さんに聞いてみた」
で、及川さんもOKしたと。
モテる男は罪ですね〜ほんと。
それに、社長のお嬢さんはモデルやってるくらいの美人らしいし、正直勝てる気がしない・・・。
しゅん、とあからさまに落胆した私を見兼ねて、国見くんは肩に手を置いた。
「悪いとは思ってるよ。でも最初はディナーを令嬢は希望してたんだけど、及川さんは夜だけはどうしても外せない予定があるからって、日中デートにしたんだよ」
「え?」
顔を上げると僅かに微笑む国見くんがいる。
私に夜は空けといてって言ってた・・・
夜だけはどうしても外せない予定って・・・
「・・・ちゃんと、前進できてるみたいで、良かったね」
こつん、と私の額を小突く国見くんの言葉に、落胆していた気分が一気に浮上していく。
自然と口角が上がっていく・・・。
「・・・!うんっ」
天にも舞い上がりそうな勢いだ!
「北村さんの機嫌も治ったことだし、じゃあ、改めて・・・会場に向かうよ」
「はーい!」
「そんなハイテンションだと、転ぶよ」
「大丈・・・あっ!」
「・・・・・・ほんと、そそっかしいよね」
国見くんの忠告通りに私は足元を滑らせて、
また彼にため息をつかれてしまったーーー・・・