第21章 Winter memory②
《Winter memory②》
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12月中旬。世間はクリスマスモード全開。
あっちこっちでイルミネーションがあったり、ツリーが飾られてあったり、ライトアップがされていたりしている。ケン〇ッキーのCMも頻繁に流れてる。
宮城でこれなら、東京は街をあげてクリスマスモードを作り出してるに違いない。私はそんなことを思いながら浮き足立つ街中を、国見くんと一緒に歩いていく。
「どこもかしこも、クリスマス一色だね〜」
「ほんと。25日過ぎたら、次はお正月一色だし、忙しいよね日本は」
寒色系のマフラーで口元を隠した国見くんは言った。
「ふふ。確かにね。それにクリスマスの街はカップルばっかりで一人で歩くの寂しくなるんだよね」
カップルにとってはクリスマスは一大イベント。お互いのプレゼントを悩んだり、ディナーするお店を選んだりと、楽しそう。
独り身の私には無縁の話だけど、やっぱり憧れるなぁ〜。
「そうだね。しかも、独り身の年に限って土曜日がクリスマスとかになるんだよね」
「そうそうそう!クリスマスの日に仕事あったら、寂しさなんて忘れられるのにね!」
ほんと、独り身にクリスマスのイベントは虚しい。
来年こそは、来年こそは素敵な恋人とクリスマスを過ごすんだ〜!って言ってもう何年経っただろうな・・・。
「北村さんは、及川さんとクリスマス過ごすんじゃないの?」
「一応その日の夜は空けときなよって言われてるんだけど・・・」
国見くんの言葉に、私はうーんと唸った。
きょとんと首を傾げる国見くん。
「及川さん・・・日中は女の人とデートらしいの」
「あぁ、聞いたかも。うちの社長の御令嬢でしょ?及川さんのファンだって言ってたね」
その通り。うちの社長の娘さんが大がつくほどの及川さんファンらしい。
「詳しいんだね、国見くん」
「俺が及川さんにアポとったからね」
さらっと答える国見くん。
くそう・・・国見くんでストップしてくれたら良かったのに・・・なんて思うけど、流石に無理だよね〜。