第3章 spring memory③
《及川side》
ーーー・・・
(今月の月バレ、特集ページはうちか・・・こないだ撮影したやつ、掲載早いな・・・)
部で購読している月バレの今月号を読み漁っていると、時間が経つのが早く感じる。今日は母さんも夜勤で、、いつもぷんすか怒ってる居候のりおも飲み会でいない静かな家・・・久々に家でひとりで過ごすと、何か面倒なことまで考えるから、ひとりはあんまり好きじゃないなと痛感するな・・・。
(岩ちゃん、彼女いないから暇だろうし電話でもしてみるかな・・・)
と、俺は寝転んだ布団の上の方にあるスマホに手を伸ばした時、玄関の扉が開く音がした。
(あ・・・)
帰ってきた、居候ちゃんが。ちっちゃくて、いつもちょこちょこ動き回ってる小動物みたいな子。パタパタといつもの小さな足音が聞こえる。でも、あれ?今日はすっごく足音がでかいな、そう思った瞬間ドタタタッと大きな物音に変わった。
「え・・・?」
ちょ、大丈夫なの・・・?
いつもは部屋から出ていかなかったけれど、今日は流石になんか様子がおかしそうだったから心配で、俺は自室から出てリビングへと向かった・・・
リビングの消した灯りはついていて、茶色のソファーを背もたれに、スーツ姿のりおはそこにいた、
手に缶ビールを持って・・・。
プシュッと気持ちのいい音と共に缶ビールの蓋が開けられる。
そして、それを煽るように飲むりお。
え、待って待って・・・一気にそんなに飲んで大丈夫?
「りおちゃん・・・?」
酔ってんのかな。髪の毛も、いつもとは違って若干乱れてるし、背中しか見えてない小さな体は不規則にゆらゆらと揺れていた。片方だけ履いてきたスリッパも、もう足から抜けそうだ。
「おか、えり・・・」
うちに来てからこんなに生活感と言うか素な行動をとるりおに少し戸惑いながらももう一度声をかける。
すると、ゆっくりと振り向く・・・
「あ、起きてたんだ・・・ただいまぁ〜」
あ、一言聞いてわかった。これ、完全に酔ってる。呂律回ってない。顔こそ赤くなってないけど、目の焦点が合ってない、し、こんな顔でまず、俺のこと見たことない。