第19章 Autumn memory⑤
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(あぁやって普通に送り出したけど・・・良かったのかなぁ)
ケチャップライスを炒めながら私は考えていた。
こないだの夏・・・及川さんがあんなに苦しそうな顔をしていたのを思い出して、今でも、またあの時のような顔をしていないか気になっていた。
(やっぱり私、ついて行くべきだった?いやいやそしたら、余計話こじらせちゃうし・・・うーん)
でも、行ってきます、そう言って出ていった時の及川さんの表情は、暗くなんてなかった。
本当に一歩踏み出すつもりで、行ったんだと思う。
及川さんが今日まで一日足りとも、奥さんのことを忘れたことなんてなかっただろうな。時々、切なそうな顔していたし・・・
口には出してなかったけど、きっと体のことも心配してたんだと思う。そうだよね、だって・・・自分のパートナーだった人だもん。
嫌いになんてなれないよね・・・
スマホを手に取って、昨日夢の国で女の子達に撮ってもらった及川さんとのツーショットの写真を見返す。
「・・・ふぅ・・・・・・」
私は・・・及川さんにとって、一体どんな存在なんだろう。
ただの居候、従姉妹のままなのかな・・・
これで奥さんと会って、やっぱり戻りましょうって話を持ちかけられていたりしたら・・・?
及川さんはどうするつもりだろう・・・
(あぁ嫌だ嫌だ!こんな事考えてる私が1番いやだ!)
ぶんぶんと、邪念を払う。
(今は・・・待つしかないよね・・・)
やっと踏み出せた及川さんの事を・・・
信じて待つしかない。
(帰ってきたら・・・うんっと唸るくらい美味しいご飯、食べさせてあげよう!)
そうして私は、気合を入れ直してキッチンに立ったーーー・・・