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おかえり〜I'm home〜(R18)

第18章 Autumn memory④





《Autumn memory④》


ーーー・・・


東京旅行三日目。
昨日一日中歩き回ったから夜は1回も起きずに熟睡した。だから体もスッキリしていて、気持ちがいい。

今日は及川さんにどこに行くのか、カフェで朝食を摂りながら教えてもらえた。

行き先は・・・

「ここだよね、おじいちゃんの居る施設は」

私たちの親の親、おじいちゃんの元だった。
老人保健施設に入っているおじいちゃんは、春先に体調を崩し、また最近も体調が良くないらしく、機会があれば会いに行ってあげたいと思っていたから、本当に嬉しかった。

「おじいちゃん、元気だといいな・・・」

「叔母さんの話によると、結構認知症が進んでるみたいで、叔母さんの名前も忘れてるみたいだから・・・俺たちの事も、もしかしたら覚えてないかも知れないね・・・」

「そっかぁ。でも時間が経つにつれて忘れちゃうって事も、仕方ない事なんだよね」


思い出して、なんて言っても、何もかも忘れてしまってる人にとってはストレスでしかないし・・・
小さい頃、沢山お世話をしてくれたおじいちゃんのために、
何かできることがあればいいなぁと思った。

病院の隣に作られたその施設の受付で面会の手続きをして、私たちはおじいちゃんのいるフロアへとエレベーターで向かう。

途中すれ違う御年配の方は車椅子で移動していたり、杖を使って歩いていたり様々だった。

「あ、あれじゃない?」

「あ、本当だ!」

中庭の日当たりのいい所で、スタッフの人と日向ぼっこしながら話をしている白髪の老人・・・間違いなく私たちのおじいちゃんだった。


「すみません、私たち、その方の孫のものなんですけど」

「こんにちは。あ、そうなんですね、いつもは娘さんがいらっしゃっているんですけど・・・」

「はい、母もちょこちょこ来てるみたいで。祖父がお世話になっています」

ぺこりと頭を下げる。スタッフの方は柔らかく微笑んだ。

「こちらこそ。北村さん、きーたーむーらーさん」

私たちと話すよりも、大きな声で、ゆっくりとスタッフの人はおじいちゃんに話しかけた。

「んぁ?」

さっきまで日向ぼっこをして気持ちよく目を閉じていたおじいちゃんはパチっと小さな目を開いた。

「お孫さんが来てくれましたよ〜」


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