第17章 Autumn memory③
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本当に久しぶりに来た夢の国は、やっぱり夢の国で、
ありとあらゆる所にまで細かな装飾がされてあったり、大好きなキャラクターのグリーティングがあったり・・・とにかく夢で溢れていた。
久しぶりに乗り物もリニューアルされたものも多く、新鮮だった。及川さんは初めて夢の国に来たらしく、色々感動を隠せずにいて、可愛かった。
私たち二人は大の大人なのに、たっぷりとはしゃぐ。どちらかのお気に入りのキャラクターがいれば写真を取りに行く・・・
「ね、りお!俺あのキャラクター好きなんだよね!」
そう言って及川さんが指差したのは、三匹の子ぶたのうちの1匹。ちょっと怒った顔をしている子だ。確かに可愛いけど・・・
「へぇ、及川さん、あのキャラクターが好きなんだ」
意外だなぁと思っていると、
「りおみたいじゃん!」
ん?
「ちょっとそれどういうことよ」
及川さんを睨みあげると楽しそうにケラケラと笑った。
「ほーらそういう怒った顔とか、体型とか」
「ほんっと悪口ばっかり!」
ぎゅーっと二の腕をつねると痛そうに顔を歪める及川さん。
ほーんと、子供っぽいんだから・・・
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及川さんは結構影響されやすいかも。
二人で乗ったモン〇ターズインクのアトラクションでは大いにライトを照らして遊んだ。
その影響から、グッズ売り場でもそこのキャラクターのモチーフの帽子を被ったりして遊んでる。
「このマグカップ可愛いね〜」
緑色のひとつ目のキャラクターの帽子を被ったまま、及川さんはペアのマグカップを真剣に見ていた。なになに、と顔を覗き込むと、それは主人公二人のイラストがそれぞれ描かれてあった。
青い大きなモンスターと、小さな丸いひとつ目のモンスター。
「二人で一個ずつ使おーよ」
「いいけど、どうせ私は青い方をくれるんでしょー?」
青い方は、人を怖がらせる達人。でも中身は優しいから私は結構好きだけど。
すると及川さんは首を振る。
「え?こっちの緑の方?」
緑色のモンスターは、お茶目でよく笑う可愛いキャラクターだ。
「こっちの方が丸いボールみたいだしりおみたいじゃん」
「そこまで太ってないわ!」
及川さんの革靴を思いっきり踏んでやった・・・