第17章 Autumn memory③
「ちょっ、私なの!?」
普通及川さんじゃない?!
「待ってそれ、やばい、ウケんだけど!」
ひゃひゃひゃと笑い出す及川さんの声。くそう、被らされてるから何も見えてないけど、私は結構面白い姿をしてるに違いない。
「及川さんも被って見せてよ〜」
「やだよ。綺麗な人は被らなくていいんだって!」
「暗に私のことブスって言ってるし!」
ほんと意地悪。被り物を脱いで、無理やり背伸びして被せてやった。
こ、これは・・・予想以上に面白い!
「あはははははは!」
もうほんと、さっきのでお腹いっぱい使って笑ったからこれ以上笑うのは苦しい。
もう笑かさないで及川さん〜!
「お前笑いすぎだし」
被り物を脱ぐと、拗ねた及川さんの顔があった・・・
その日は、近くにホテルを取ってくれていてそこに宿泊することになった。あ、もちろん部屋は別!
夜一人で部屋にいると、及川さんがどうして東京まで連れてきてくれたのか色々考えた。
(誕生日祝ってくれようとしてるんだろうな・・・お母さんにも合わせてくれたし、お笑いにも、連れてきてくれた)
もうすぐ誕生日を迎える私の好きなところ、会いたい人に、会わせてくれてる、そう考えた。
及川さんがこんなこと計画してくれてたなんて、想像もつかなかった。
明日は、どんな一日が待ってるんだろう・・・
そんな風に思いながら、私はゆっくりと瞼を閉じた・・・ーーー