第17章 Autumn memory③
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夕方、私たちが来たのは新宿。
ここの景色も久しぶりだな。
バスターミナルが新しく出来て更に都会らしくなってる。都会なんだけど・・・
「流石東京は、山が全然無いね」
改札を出て及川さんはしみじみと口を開く。そうだよね、宮城は山とか自然が多いから、東京とは全然違う。でも別に不便なところは無くて、私は宮城での生活は満喫してる。
「及川さん、次はどこいくの?」
「次はここ。」
及川さんはすぐ近くの大きな建物の上を指した。
その建物はま、さ、か・・・
「お笑い!?」
「そ。ルミネthe〇しもと」
嘘嘘嘘!本当に!?
こんなに興奮しているのは、私は大のお笑い好きだから。いつもテレビで旬なお笑い芸人から昔からの実力派なお笑い芸人まで幅広い芸人をチェックするくらい。
このルミネthe〇しもとは、毎日色んな芸人さんがこのビルの中にある劇場内で漫才をする所。私の大好きな場所だった。
及川さんは、ここに連れてきてくれたんだ・・・
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その日の公演は、なんとなんと私の大好きな芸人が出る日だった!
テレビでは見てたけど、ここでは1度もネタを見たことがなくて、興奮と笑いでもうお腹がちぎれそうだった。
お客さんの笑いが会場を包み込む中で及川さんもつられて笑ってる。こんなに笑ってる及川さん初めて見た。
でも、そうだよね、ここは笑いに来れる場所だから。
あ〜沢山笑って幸せだ!
公演が終わって私がグッズ売り場で目についたのは・・・
「及川さん!これ見てっ」
何やらオレンジ色の大きなものだった。
「なに?あ、これ知ってる、ガキ〇で使ってた浜〇の顔の掘ってあるカボチャでしょ。凄い、被れるようになってんだ」
及川さんはその浜〇カボチャの被り物をひょいっと持ち上げて、私に被せた。