第17章 Autumn memory③
そして画面の向こうから聞こえてきた声は、意外な人物だった。
《もしもし、りお〜?おはよう!》
「へ?・・・・・・お、お母さん!?」
聞き間違える訳ない。
え、なんで?お母さんと及川さんが繋がってるの?
《今日お母さんすっごく楽しみにしてるのよ〜、気をつけてきてね!》
「へ?え・・・え?」
頭がついて行かなくて。一生懸命頭を整理する。
手に持った東京行きの切符を見つめ・・・ゆっくりと理解していく。
「もしかして・・・今日会うの?」
《そうよ!りおには今日まで内緒にしてて下さいって、徹くんに言われてたからずーっと言いたくて仕方なかったのよ》
私は及川さんを見た。及川さんは、してやったり、と言った不敵な笑みを浮かべてピースサインをしていた。
その瞬間、私はぱあっと顔が明るくなった。
行き先って、東京だったんだ!
《それじゃ、待ってるわね。気をつけてね!》
お母さんの声音はウキウキとしていて、本当に会えるんだと決定づけた。
電話を切って、及川さんにスマホを返す。
「そんじゃ、行くよ、叔母さんとこ」
「本当に、東京に行ってくれるの?」
「でなくちゃ切符買ってまでしないでしょ。ほら、電車来るよ」
そうして私の隣を歩く及川さんの横顔はいつもよりも優しい顔をしていた。
(これから及川さんと東京に行くんだ!)
そう思うだけでこれからの東京旅行?に胸が踊ったーーー・・・