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おかえり〜I'm home〜(R18)

第16章 Autumn memory②





「なるほど、それは・・・前進と言うか、事件だね。あの人がそんなこと・・・」


流石の国見くんも顎に手を添えて、思考を巡らせていた。

及川さん・・・

いつも私より遅く起きて来るのに、私が起きる頃にはもう朝ごはんは作ってあるし、朝回す予定だった洗濯は干し終わってたりする。
私が朝ごはんを食べたら、いいよって言うのに食器は洗ってくれるし、さっき言ったように会社まで車で送ってくれる。

最近リーグ前で早く練習が終わる及川さんは、私が帰ってきたら既に家事を終わらせてくれている。
バレー選手だし、試合も近いし休んで欲しいのに・・・

「俺がしたいからしてるだけだよって一点張りで、私が負担になってる気がして・・・」

「なるほど・・・」

「それに、晩御飯は何食べたい?とか・・・やたら私の好物とか好きなキャラクターとか、色々聞いてくるの。もう急な展開に付いていけないよ〜」


国見くんは私の話を一通り聞くと、暫く黙った。

「でも。さ・・・」

そう、口を開いてくれた。


「いきなり優しくなったり・・・手厚くもてなしてくれて戸惑う気持ちもわかるけど、」


国見くんの形のいい唇が綺麗に弧を描く。

「男の気持ち的に、どうでもいいやつにそんなこと、しないと思うけど・・・?大人しく、甘えたら?」

「どうでもいいやつ・・・」

「・・・には、しないと思うよ?毎日あの及川さんが送ってくれるなんて想像できないし」

「そ、そうだよね。私も・・・びっくり・・・」


でも、やっぱり嬉しい気持ちが募る。
どんなことであれ、私のことを思ってしてくれている事が何よりも温かい。

「甘えちゃって・・・いいのかなぁ」

「って言ってる側から顔にやけてる」

「えっ!嘘!」

言われて慌てて頬肉を引っ張る。
クスリと隣で笑う声がした。

「ふっ・・・冗談だって」

国見くんは笑ってくれる。つられて私も、笑えてきた。

うん、及川さんが良いって言ってくれてるんだし、甘えてみようかな。折角の好意だし。

何だか恥ずかしいけど、照れくさいけど・・・
前とは違った風に、彼との距離が近づいた気がしたから・・・





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