第15章 Autumn memory①
「なんだ。めちゃくちゃ簡単な解決法じゃん」
さっきまで悩んでいたのが嘘みたいに心が晴れていく。
「だから言ってるだろ、お前はアホ川だって」
「くぅ〜っ、こんな単純なことなのに、俺って盲目・・・!」
「ま、そろそろお前も認めろよって事だろ」
「へ?」
「モヤッとするくらい、りおの事を知りたいって思うくらい・・・今のあいつのこと、どう思ってんのか、って事だ」
それだけスパッと言い切ると、岩ちゃんは冷蔵庫へと歩いていった・・・。
・・・・・・・・・
「ちょ、その言い捨てはずるいよ岩ちゃ〜ん」
「うるせ。引っかかってるもん取れたんなら、さっさと家帰れ、あいつが待ってんだろ」
「・・・はぁ、分かったよ。ありがとね、色々心配かけて」
「別にお前が暴走しなけりゃ、俺はどうでもいい」
「はは、そう言う岩ちゃんに愛されて、俺幸せ!」
「うるせぇ、くせぇ。早く帰れ」
「酷いよ岩ちゃん!」
ーーー・・・
本来の買い物を済ませ、家につく頃には辺りは真っ暗になっていた。
やっぱり夜は冷えるようになったなぁ。あと1ヶ月もすれば、もっと日が暮れんのも早くなるし・・・
そんなこと思いながら俺は、玄関を開けた。
リビングに明かりが灯っていて、美味しそうな味噌汁の匂いがした。
あいつ、夜ご飯作ってんな・・・
休んどきなって言ったのに・・・
「おかえり〜」
「ただいまー」
案の定、キッチンにはエプロン姿でおたまを片手に立つりおの姿があった。ため息をつく。
「お前、俺の話聞いてなかったの?休んどきなって言ったよね?」
「う、うん、聞いてたけど・・・ごめん。何か何もしてないと、申し訳なくて・・・」
困ったように目を伏せるりお。そんなりおの元に近づいてその顎を指先ですくった。
「晩御飯、作ってくれんのは有難いけど」
「・・・・・・」
「こんな足して・・・バランス崩して味噌汁ぶっかけて火傷したらどうすんの」
すっと、おたまをりおの手から外す。
「あ・・・」
「だめ」
おたまを視線で追ったりおの頬を、むにっと掴む。
「お前の仕事は、まず安静にして足治すこと。他のことはしなくていいから」
「でも」
「これ以上ワルイコトしたら、その口塞ぐけど?」