第15章 Autumn memory①
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「じゃあ、今度はまた飲みにでも行こうな」
「はい!大地さん、頑張って下さいね!」
「おう、ありがとな。及川も、また飲みに行こう!りおのこと、宜しく」
「そうだね、行こう。もうすぐでリーグも始まるし、ここのクリニックにもチケット送るから、また観にきてよ」
「ああ、そうする。じゃあまたな!お大事に」
主将君は外まで見送りに来てくれた。彼に手を振ったあと車を走らせて帰路につく。
あのあと結構長いこと話すのかと思ったら、意外とあっさりと短い時間でお別れになった。
ま、主将君は仕事中だしね。同じ県内にいるからこれからいっくらでも会おうと思えば会えるんだ、し、ね!
「大地さんはね、昔私、好きだった人なんだ」
すると、りおはポツリと呟くように言った。
「あー、そうだったんだ」
まぁ、分かりきってたけどね。でも、りおから話すなんて思わなかった。何でもないような振りして、内心ドキリとした。
「でも、あの頃の関係、壊したくないなぁって思うと中々告白する勇気が無くて・・・大地さんが大学を卒業する少し前に、私はオーストラリアへ留学に行ったから、結局言えずに終わっちゃったの」
留学、か・・・それも初めて聞いたな。そう言えばさっき、職場もオーストラリアだったって言ってたな。結構国際派なんじゃん。
「で、私も勉強で忙しくて、月日が経っていくとその気持ちも自然と、無くなってた。けど今日久しぶりに会えて・・・」
会えて・・・?会えて、なに・・・?
その先が早く欲しい。
「何か、懐かしかった。あの頃の私は、大地さんに対する思いは好きって気持ちだったけど、今は・・・違うって思った。・・・慕ってるって言うのかな?人として尊敬するけど、恋愛対象じゃあ、もう無いんだなって分かったんだ」
「そうなの?」
「なーんて、自分でも何言ってるかわかんないんだけど、兎に角、大地さんに会えたのは嬉しかったけど、あの頃とは気持ちが違うんだなって・・・そう思ったんです」
照れくさそうに、後部座席で笑うりおがミラー越に見える。